吉田キャンパス 科学のつどい(第5回)
前近代中国の天下・国家のかたち
― 昔、中国に国境はなかった ―
日時 2月14日(金) 17:45−19:45
会場 山口大学理学部 第5講義室(理2号館1階)
講演者 滝野 正二郎准教授(山口大学人文学部)
概要
最近、中国の領土政策が問題となることが多く、中華人民共和国政府自身も国家主権と領土保全の問題を「核心的利益」とまで言っています。日本には、中華人民共和国が領土にこだわる強硬な姿勢を「中華思想」と結びつける論も存在しますが、これは本来の「中華思想」ではありません。
今回のつどいでは、滝野先生が歴史学の立場から、まず「路程書」・「五服図」を主な材料として、前近代中国の天子(皇帝)を中心とする求心空間的世界(国家)観をご紹介し、昨今の領土問題とは逆に、前近代中国の理念上において領土・国境という概念がなかったことをお話しします。その上で、領土保全を「核心的利益」とまでいう中華人民共和国の姿勢の裏には、近代、ヨーロッパ列強や日本と接触する中で領土概念が導入される一方、それらによる侵略によって領土および主権の危機を迎えた経験があることを指摘したいと思います。
多数の皆様に参加をお待ちしております。
JSA会員以外の教職員、学生、あるいは学外の方も自由に参加できます
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