安保法制の廃止をめざす山口大学関係者の会 声明
「イージス・アショア」の陸上自衛隊むつみ演習場配置に反対する
2018−7−1

声明

「イージス・アショア」の陸上自衛隊むつみ演習場配置に反対する


 政府は昨年12月、北朝鮮の核・ミサイルへの備えとして、イージス・アショア2基の導入を閣議決定しました。 しかし、その後国会での審議も殆んどないまま、陸上自衛隊新屋演習場(秋田市)とむつみ演習場(萩市)を 配備候補地とし、この6月、各関係自治体、住民への説明を進めました。6月17日 阿武町、18日 萩市むつみ地区、 19日の萩市中心部で、住民説明会が開かれました。配備の必要性については、我が国を射程に収める北朝鮮の 弾道ミサイルによる軍事的脅威を挙げ、イージス・アショアを北と西に2基配備すれば日本全国を24時間365日 防御できる、としました。候補地選定については、@全国をカバーするために2基をバランス良く日本海側に 設置すること A探知に支障となる山などの遮蔽がない場所 Bレーダーと発射台を適切に設置できるように 広くて平坦な敷地の確保 C電気や水道の安定的な供給が見込める場所の4点を踏まえたと説明した。 住民生活についても「我々の調査では、影響がないと考えている」と述べています。
 しかし、選定の根拠や経緯および電磁波の人体等への影響など住民生活及び産業への影響についても、 詳細な説明や科学的根拠を示さず、一方的な説明にとどまっています。地域住民は、環境や健康への影響を 強く懸念し、不安の声を挙げています。少なくとも、防衛省ではなく、県による専門家等第三者機関による 公正な調査が必要でしょう。また、基地が攻撃の標的となる不安も聞かれます。一度つくられれば、長期にわたり ミサイル基地が存在することになり、住民生活への影響は計り知れません。しかし、住民説明会では、6月1日の 政務官の説明と全く同じ内容が述べられるにとどまりました。参加者の多くも、説明不足だ、納得できないと 感じています。にもかかわらず、6月21日には入札公告をし、すぐにも現地調査を始めようとしています。 住民説明会を形骸化する強引な進め方です。そんな中、配備に賛成できないという地元の首長の声も伝わっています。 1基1000億円と言われる経費は、関連経費を含めればさらに大幅に増額される可能性が予想されます。「防衛力整備は、 限られた予算の中で、費用対効果や近隣外交への影響を考え抜き、国民の理解を得ながら実効性を高めていく必要がある」 (6月27日朝日新聞社説)と指摘されるように、政府・防衛省の判断で一方的に配備を進めること、特に、 地域住民の不安を解消することもなく、配備に向けて既成事実を重ねることは厳に慎むべきです。
 ところで、この6月12日、米朝首脳会談が開催され、「朝鮮半島の非核化」を織り込んだ共同声明に両首脳が 署名するに至りました。朝鮮半島の非核化および東アジアの平和と安全を高める歴史的な動きです。このような時こそ、 我が国は平和国家として、アジア諸国との友好関係をさらに強化すべきであり、軍事によらない問題解決のため、 その役割を発揮すべきです。イージス・アショアシステムを導入することは、日本はアメリカの軍事戦略に一層 深く組み込まれることであり、東アジアの平和構築における日本の発言力の低下を招くことになります。
 私たちは、地域住民への重大な影響はもとより、日本国憲法の精神とも真っ向から対立し、集団的自衛権の行使にも つながるイージス・アショアの配備に断固反対いたします。

2018年7月1日    安保法制の廃止をめざす山口大学関係者の会 世話人会


もどる