日本科学者会議山口支部ニュース 第172号(通算)(2014年10月1日)
つ う し ん
WEB版 2017 復刻

  

2014年度前期、支部幹事会では次の2つの声明を出しました。

集団的自衛権行使を容認する憲法解釈変更の閣議決定に抗議する

 2014年7月1日は、国民主権と平和主義を掲げる日本国憲法にとって重大な汚点を残す日となりました。 同日、安倍内閣が、個別的自衛権の行使に限定してきた従来の憲法解釈を大転換し、 集団的自衛権の行使容認に踏み切る閣議決定をしたからです。
 憲法9 条に関する政府解釈において、これまでは、自衛権の発動としての武力行使には、 @我が国に対する急迫不正の侵害があること、Aこの場合にこれを排除するために 他に適当な手段がないこと、B必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと、 の三要件を課していました。 しかし今回、@我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず、我が国と密接な関係にある 他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及 び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合に、Aこれを排除し、 我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がない時に、 B必要最小限度の実力を行使すること、という新三要件に変更しました。 自国の防衛に専念することと、海外で他国に対して武力攻撃を行うこととの間には 大きな開きがあります。首相は、これについて、これまでの三要件と 「ほとんど変わっていない」と言い切りましたが、本気でそう思っているなら 首相たる者の感覚の鈍さに国民として不安感を禁じ得ないし、そうでなければ国民に対する ごまかし以外の何ものでもありません。
 さらに問題なのは、憲法違反にも相当するこれほどの重大な憲法解釈の変更を、 国民的議論を排除して内閣の独断で行ったという点です。憲法96 条は、憲法改正には 国会の発議の後、国民の承認を得る必要があることを規定しますが、今回の閣議決定は、 当然必要とする手続きを経ない一内閣による「解釈改憲」にほかなりません。首相は、 記者会見で「今回の閣議決定で集団的自衛権が行使できるようになるわけではない」と 説明しましたが、国会で審議することもなく、そこに「国民」の存在は感じられません。 国家権力に縛りをかけるという立憲主義の精神をないがしろにするこうした手法がまかり通るなら、 時の政権の思惑次第で憲法解釈がいかようにも変えられることになります。したがって、 首相が「日本が再び戦争をする国になることは断じてあり得ない」と言ったところで、 それには何の保証もありません。新三要件が歯止めにならないことは明らかです。 このように国会審議も経ず、多くの国民の声を無視して、単なる「閣議決定」で 憲法9条を踏みにじる今回の閣議決定は罪深いものがあります。
 また、今回の閣議決定に先立ち、国家安全保障局により国会審議を想定した問答集が 作られていたことが明らかになりました。そこでは、これまで首相が強調してきた 「限定容認論」を踏み越えて、閣議決定には盛り込まれなかった集団安全保障への参加も 可能であるとされています。このように本音を押し隠し、机上の空論で国民を欺こうとする 政権のやり口を決して許すわけにはいきません。ここに改めて今回の閣議決定に対し、 断固たる抗議の意思を表明します。

 2014年 7月 2日
日本科学者会議山口支部

 上記声明は7月2日に山口県庁記者クラブに配布し、翌日の中国新聞等で紹介されました。 次の学校教育法・国立大学法人法の廃案を求める共同声明は6月18日に記者クラブでの 共同記者会見において発表しました。

教授会権限剥奪・学長権限強化により、大学の自治・学問の自由に危機をもたらす
「学校教育法・国立大学法人法改正案」の廃案を求める共同声明

 政府・文部科学省が4月25日に国会へ上程した「学校教育法及び国立大学法人法の一部改正案」は、 大学関係者・教職員組合等の強い反対と危惧の声が強まっているにも関わらず6月10日の衆議院本会議で 可決されました。
 政府・文部科学省は、審議の中で明らかとなった法案の問題点・欠陥を無視できなくなり、 与党自民党と民主・維新・みんなの4党による「修正案」を受け入れ、また「学校教育法施行規則」 の中で「教育課程の編成、教員の教育研究業績の審査」を教授会の審議事項として明示することに合意し、 さらには「附帯決議」で「学問の自由・大学自治の理念を踏まえる」「高等教育への財政支出拡大」 とする等、一定の譲歩を余儀なくされました。
 これらは、全大教(全国大学高専教職員組合)・私大教連(私立大学教職員組合連合)をはじめとする 大学関係者の声を背景とした国会論戦の結果と言えます。しかし、これらの「一部修正・施行規則での 審議事項指定・附帯決議」を行わざるを得なかったこと自体が、この法案の持つ危険性を 改めて証明したものと言えます。
 さらに、これらの一部修正等によっても、戦前の帝国大学においては学内規則で規定され、 戦後は70 年近くにわたって法的に保障されてきた教授会の人事権、また、教育研究に関する重要事項を 教授会で審議・決定するという大学自治の根幹に関わることが大きく制限されることになるという、 法案の持つ本質はなんら変わっていません。またこの結果として、学長権限のさらなる強化、 企業経営者等学外者の大学運営へのいっそうの関与が進み、大学の「国と産業界が求める人材育成機関化」 への変質が進行していくであろうことは想像に難くありません。
 2004年の国立大学法人化以後、「国立大学運営費交付金」は毎年のように削減され続け、 教員一人一人に保障することで学生に還元される基本的な教育研究経費は激減しています。 公立大学の「運営費交付金」も同様となっています。すでに「評価・競争」の中で、 本来の研究基盤を確保することが困難な状態が全学問分野に広がっており、多くの教員は 予算獲得あるいは短期的な「成果」をあげて「評価」をクリアするという「競争的環境」のもとにおかれ、 「学問の自由」は危うくなっています。 学生もまた、今や教育ローンと化した「奨学金」と、 学業に支障をきたすほどのアルバイトに頼らざるを得ない姿が普通のこととなり、 国立大学の授業料はいまや私立大学に限りなく近づく等「教育の機会均等」は崩壊しつつあります。
 こうした大学の危機をさらに加速させる「学校教育法・国立大学法人法一部改正」に反対して、 ノーベル物理学賞受賞の益川英敏氏(名古屋大学素粒子宇宙起源研究機構長)をはじめ全国で およそ7千名がアピール署名に賛同し、反対の声はさらに日々広がりつつあります。「国」に求められるのは、 こうした大学人自身の声を真摯に受け止めて法案を撤回し、OECD(経済協力開発機構)加盟諸国と 遜色のない財政支出を行うことを基本に大学が大学人自らの判断と力で本来の役割を果たせるように 条件整備を進め、形骸化しつつある大学の自治を本来の姿に再生させることです。今回の法案のように 教授会権限縮小・学長権限拡大で大学をさらに疲弊させることがあってはなりません。
 急ぐべきはこの法案の成立ではなく、大学・高等教育機関への国の財政支援及び学生への経済支援を 抜本的に拡充し、それぞれの大学の主体的・自主的判断で「大学改革」を進めることができるように することです。これこそが、日本が真に国際的にも通用する創造的・高度な研究成果を得る方策であり、 同時に学生・国民の知的水準の向上に寄与する大学づくりを可能とする道筋と言えましょう。
 両法案はすでに参議院での審議に移行していますが、6月22日の今国会会期末までの国会審議の中で、 この法案の持つ重大な問題点・欠陥をさらに明らかにした上で、参議院が「良識の府」としての見識を 示し廃案とすることを強く求めます。

2014年(平成26年)6月18日          
山口大学教職員組合   執行委員長 鴨崎 義春
下関市立大学教員組合  執行委員長 相原 信彦
日本科学者会議山口支部 代表幹事  増山 博行


 2014年度前期のその他の取り組みは以下の通りです。

  • 4月5日 「100年の谺 大逆事件は生きている」自主映画上映会を支部会員が参画した 実行委員会が県立図書館レクチャールームで開催
  • 5月31日 「それでも原発を再稼働するのか?」原発をつくらせない山口県民の会  第18回総会の学習会で支部会員が講演
  • 7月12日 「上関原発計画の現状と問題」 第27回JSA中国地区シンポジウム(岡山)に 参加した支部会員が報告
     
  • 9月20日 幹事会の開催に引き続き、山口大学関係者有志九条の会の講演会 「集団的自衛権行使容認と憲法のゆくえ」に参加


    JSA山口支部総会議案

    はじめに
     昨年10月に、支部つうしんNo.169で支部総会議案を送付し、メールもしくは郵便で評決を求めた。 その結果、2012年度の58名の会員中、過半数を超える33名から回答が得られ、その全員が評決に付した 提案に賛意を表した。約10年前から、支部の組織活動の改善やそのための支部規約の改正が提案された 経緯があるが、その決定をおこなう大会を開催できずに来ている。会員の減少・点在化に伴い、代議員の 選出を行ったうえで、代議員会である支部大会を開催するというやり方が実情に合わなくなっている。 そこで、多くの学協会の方式にならい、昨年と同様にメールもしくは郵便で支部の意志決定を諮ることを 提案する。
     さて、来年2015年は被曝・終戦70年の節目の年であり、日本科学者会議創立50年でもある。他方で、 憲法9条の「解釈改憲」に続き、「集団的自衛権行使」と称して自衛隊が地球の裏側まで米軍とともに 行動可能なように、あるいは非常事態と称して国民の権利を縛る諸法制の制定が目されている。折しも、 2015年の原水爆禁止世界大会・科学者集会を山口で開催する計画が持ち上がっており、平和と民主主義のため、 核のない世界のために山口支部として持てる力を発揮することが必要である。

    議事 1.活動報告
     主な活動は「支部つうしん 168号(2013.7)〜171号(2014.5)」に報告されている。会員の約半数が集う 山口大学吉田キャンパスを拠点に、「吉田キャンパス科学のつどい」が山口大学教職員組合との共催で 6回開かれ、延べ百数十名の参加があった。
     原発問題の取り組みには支部代表幹事が原発をつくらせない会の代表委員として運動に参画するとともに、 2013年夏の「上関原発用地埋立延長は違法」とする監査請求および訴訟に個人会員が加わり、 また、2014年3月の上関原発を建てさせない山口県民大集会にむけて賛同署名・募金活動を行い、 集会にも10名を超える支部会員が参加した。
     平和と民主主義の課題については、2013年11月の第4回科学のつどいで松原会員による積極的平和主義に 関する学習会を成功裏に開催し、12月には特定秘密保護法案に反対する学者の会のアピールに賛同する署名を 会員に呼びかけた。
     昨年の総会議案に報告した2012年度から2013年度にかけての3名の若手の会員の拡大については、 2014年1月発行のJSA事務局ニュースに山口支部の記事(別添に採録)が掲載されている。しかし、その後の 会員拡大は実っておらず、逆に長年の会員が退職を機に「会費だけ納めて何もしない会にはとどまらない」 として脱会する例があり、2013年度から2014年度にかけては2名の減となった。

    2.会計報告
     2012年度までの数年間については、本部への上納金に過不足はない。一部に会費の納入が遅れている 会員があることが分かっている。しかし、支部活動が低迷していたこともあり、詳細な決算報告は困難で あるので、ここでは、会計幹事が交代した2013年度の決算について報告する。年度当初の会員数は55名 (うち、退職会員が13名)であった。会議費の支出は福島での原発シンポ参加旅費1名分であり、 事業費は原発をつくらせない山口県民の会と憲法集会の分担金である。
      収入 1,466,972円(うち、前年度からの繰り越し 882,710円)
      支出 1,466,972円(うち、次年度への繰り越し  894,910円)
     
    3.支部役員
     昨年秋に選出された役員体制を継続する。ただし、支部規約で置くことになっている会計監査を 吉村幹事(前支部代表幹事)および田中幹事(以前に会計監査として承認を受けたままになっている) に依頼する。事務局の事務は引き続き山口大学教職員組合書記局に業務委託する。
       全国幹事 吉村(至誠館大学)
       支部代表幹事 増山(元山口大学)
       支部事務局長 大和田(山口大学)
       支部会計幹事 笠野裕修(山口大学)
       支部幹事 田中(山口大学)、海野(山口大学)、塚田広人(山口大学)、森田(山口大学)、浜田(元水産大学校)
       会計監査(兼担) 吉村、田中
       事務局 山口大学教職員組合書記局

    4.活動方針
     昨年に重視する課題として明記した原発問題、憲法9条および平和と民主主義、国民の生活・生存権にかかわる 問題を柱に据え、各会員の属する職場、地域、団体で科学者運動を展開する。
     山口支部の活動の柱を次のように設定する。
    1)平和と民主主義を守るため憲法を守る課題にとり組む
    2)核エネルギー問題および自然エネルギーの研究支援にとり組む
    3)職場、地域、団体で科学者に要請される課題に積極的にとり組む
    4)会員同士さらに非会員との交流を広め、専門を越えた学術の総合的発展をめざす
    5)研究者の権利・地位の確立、特に若手研究者の処遇について支援を検討する
    さらに、2015年原水禁世界大会・科学者集会の山口開催の成功をめざす活動にとり組む
    こうした取り組みの中で、若い会員の入会で支部活動の活性化をはかる。

    5.予算案
     昨年承認された年会費とする。年度当初の会員は53名(うち、退職会員が14名)
        一般会員 11,400円、
          退職会員 8,000円
        学生会員 7,200円(ただし、会誌等の郵送を希望する場合8,000円)
     会計年度は4月より3月とし、原則として1月末までの前納制に順次移行する
    (会誌「日本の科学者」の購読者数の締切が2月末のため)

     支出項目の旅費の支給基準(例示)は以下の通り
    県外の出張 実費(JR運賃)+宿泊費(1泊6,000円)
    県内の往復 宇部から山口:1,000円   下関から山口:3,000円
     また、事業費に「支部シンポ・学習会」の事項を新設している。部外講師の謝礼として1回3,000円とするが、 共催団体に所属する講師には支給しない。

     2014年会計年度(2014.4〜2015.3)予算案の概要は以下の通り。なお、本部上納会費や本部還元金 についての昨年度の説明は誤りで、正確には下表のようになる。
    収入
        前年度繰越金 894,910
        会費 556,600
        機関誌収入 7,200
        本部還元金 17,372
        雑収入 200
        計 1,476,282
    支出
        本部上納金 390,000
        会議費 100,000
        事務局費 107,000
        情宣費 5,000
        業費 45,000
        予備費 829,282
        計 1,476,282

    6.その他
     会員は事務局との連絡を迅速・円滑に行うため、メールアドレス(インターネットで少なくとも1MBのファイル 添付可能)を事務局と届け出てもらいたい。現状では2/3の届出に止まっている。
     支部webページの安定的な開設の方策を引き続き検討する。

       以上の議題について、添付の評決書の各項目毎に承認する場合は○、不承認は×をつけて、郵送もしくはメールで、 11月15日までに事務局長宛、送付願います。支部会員53名の過半数の27名以上の承認をもって、総会可決と致します。


  • 通信編集部より
     昨年は年4回の発行でしたが、今年度は3回としたにもかかわらず、2ヶ月近く発行が遅れてしまいました。 最大の理由は編集人の個人的理由ですが、情勢の急変に振り回されたこと、および講演や原稿執筆に 追われてしまったことも重なりました。お詫びします。

    JSA山口支部事務局
       〒753-8511 山口市吉田1677-1 山口大学教職員組合気付
      Tel 083-933-5034  Fax 083-921-0287  e-mail fuy-union@ma4.seikyou.ne.jp

    付録

    山口支部での会員拡大の経緯(JSA事務局ニュース 2014年1月発行に寄稿)

     5,6年前から山口支部の活動といえば、会費徴収と会誌等の配布、「支部つうしん」の発行が主な内容となっていた。そして、会員の職場からの引退に伴う退会で年々会員数が減少してきた。最盛期には200名近い会員がいたが、現在はその3分の1となり、かつ平均年齢も50歳台まで上昇してきている。本部からは何度かシンポジウムの開催などが打診されていたが、応えられないでいた。
     2011年3月の東北地方太平洋沖地震とそれに引き続く東電福島第一原発事故は、巨大地震などの自然災害、原発と放射能問題、原子力・エネルギー問題に関して、科学者・技術者に大きな課題を投げかけた。山口支部においても、原発事故がどうなっているのか、放射能汚染への対処と計測方法、さらに原発に頼らないエネルギーについて、質問や解説の依頼が寄せられた。かっては山口支部でも原発問題研究委員会が活動していたが、公害問題研究委員会などを含めて、支部の研究委員会は存続していない状況であり、数名の会員が個人的に対応するにとどまったが、その講師活動等は3.11以降の1年半で20回になっている。
     2012年9月、岡山で開催された第19回総合学術研究集会には山口支部から数名が参加した。JSA創設期の熟年会員が元気に発表を行う姿や、古手から若手会員までが一丸となって集会成功に奮闘している岡山支部の活躍ぶりはまさに刺激的であった。
     2012年11月、米田事務局長から山口に寄って講演をしたいとの申し入れがあった。ちょうど山口大学関係者九条の会の年次総会の企画が検討されていたときであり、九条の会との共催でミニ学習会を開催することになった。JSA山口支部関係者の参加は決して多くはなかったが、久方に支部企画で催し物を開催することができたのは一歩前進であった。同時に、米田事務局長から全国の様子を聞き元気づけられる貴重な場となった。
     このミニ学習会の経験は2013年4月から始まった「吉田キャンパス 科学のつどい」の企画に継承され、同年11月までに4回ほど開催している。また担当者の逝去で年1回の発行が止まっていた「山口支部つうしん」の編集は新幹事に引き継がれ、2013年1月以後は3カ月毎の発行となっている。
     若手の研究者へのJSA加入勧誘も「つうしん」発行と並行して行われた。「山口支部へのお誘い」とともに、JSA本部が作成のリーフレット(「日本科学者会議とは」と「JSA入会のしおり」をWEBからダウンロード)、さらに原発問題に取り組んだ支部会員の活動記録を載せた「支部つうしん」記事を山口大学教職員組合には加入しているが科学者会議には未加入の吉田キャンパスの約100名の教員に配布した。さらに最近大学に採用された3〜40代の教員には直接会って勧誘を行った。その結果3名の教員が新規に加入、1名が再加入し、同時に、定年退職者へ会員継続の働きかけの効果があって、2名ではあるが前年度より支部会員の増加となった。
     会員の勧誘に対する反応は2つに分かれた。「古手」教員にはJSAとは一線を画したいという反応が見られたのに対して、「若手」教員は科学者会議とは聞いたこともない、知らないという反応であった。例えばAさんは「近年、我が国の平和と民主主義へのいわれのない攻撃が強まっており、次代の子ども達のために、自分でできることは微力ながら貢献したい」として加入した。Bさんからは「自分の所属する学会の大御所にJSA会員がいて、活躍されていることを再認識した。一方で自分は市民運動に関わりを持っており、山口支部は分担金も支払えない構成団体である。これだけの会費をそれだけの会員から集めて、何故、分担金が払えないのか?」との「おしかり」を受けた。そこで、支部財政の現状を分析し立て直しの方策を立て、再度お願いにあがり、加入してもらうことができた。若手の教員は任期制の適用や、大学間格差の拡大、さらには近年の平和と民主主義への脅威に少なからず危機感を募らせている。JSAの歴史と取組を説明するなかで加入してもらえたし、逆に、新会員にJSA山口支部の活動が失望させるようなものであってはいけないというプレッシャをひしひしと感じている。一般論であるが、経験豊かな「古手」会員が若い人の悩みを聞き、一緒に運動していく姿勢を示すことで、科学者会議への信頼と期待を得ることができると思われる。
     一定の前進を得たというものの、会員拡大は山口大学吉田キャンパスの域を超えてはいない。さらに、支部活動を活性化するためには財政立て直しが不可欠である。現状では出張を伴う集会参加の旅費実費も拠出できないし、会員外の人に講演依頼してもお茶代も出せない。会費未納なままで退会する会員の会費を本部に対して立替精算していることが一因と思われる。普通の学会のように年会費は本部前納制とすることで支部の事務的負担減をはかることが考えられる。


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