日本科学者会議山口支部ニュース 第178号(通算)(2016年12月16日)
つ う し ん
WEB版 2016-12-18

 

山口支部定期大会の報告

 日本科学者会議山口支部定期大会は10月29日(土)に、山口大学理学部を会場にして開催されました。出席会員は8名、議長もしくは出席の会員へ委任状22名、書面による議決3名で、合計33名の参加があり、これは支部会員総数52名の63%であり、大会は成立しました。また、全ての議案は33票あるいは32票の賛成で可決されました。人事案件は8名の幹事と1名の監査全員が再選され、全国大会代議員候補名簿と支部から選出が要請されている全国および中国地区の役員候補が提案通り承認されました。最後に軍事研究費に関する決議文が提案され、字句上の修正を幹事会にゆだねて、決議は採択となりました。

大会で承認された内容

報告 1年間の歩み

・10月31日 支部大会が開催され、提案議題をすべて可決し、「大会アピール」を採択
・11月19日 「原発を阻止した地域の闘い(第一集)」本の泉社発刊の第5報告に上関原発について掲載
・12月10日 キャンパス科学の集い(10)「マイナンバーを『正しく』心配する」
・12月13日 JSA中国地区会議(岡山) 田中、増山が参加
・12月17日 小林節講演会実行委員会(1)
・1月7日  小林節講演会実行委員会(2)
・1月20日 キャンパス科学の集い(11)「観測天文学が解き明かす宇宙−電波天文学の現在と未来」
・1月20日 小林節講演会実行委員会(3)
・1月24日 小出裕章さん講演会「子どもたちの未来のために小出さんと考えよう! 福島の、わたしたちの、いまとこれから」  (JSA山口支部は賛同団体)
・2月11日 建国記念の日集会
・2月13日 JSA中国・四国地区合同会議(岡山) 吉村が参加
・2月16日 小林節講演会実行委員会(4)
・2月27日 小林節さん講演会「憲法を取り戻す」(JSA山口支部は賛同団体)
・3月1日 支部ニュース 第176号(通算)発行
・3月26日 上関原発を建てさせない山口県民大集会 
・3月 支部HPリニューアル  http://www.e-hagi.jp/~mashi803/jsa/
・5月3日  憲法を守る山口集会 宮尾弁護士の講演、松原会員の小報告
・5月14日 安保法制の廃止をめざす山口大学関係者の会がアピールを発表。「関係者の会」の呼びかけ人約30名の半数はJSA山口支部の会員
・5月21日 原発をつくらせない山口県民の会第20回総会・学習会 増山会員が代表委員として挨拶
・5月28,29日 JSA定期大会(東京) 吉村・田中が参加
・6月20日 キャンパス科学の集い(12) 「積極的平和主義を考える」寺中誠氏(アムネスティ日本元事務局長) 35名参加
・7月1日 昼休み公開学習会「戦争・平和の問題を中心に参院選挙の争点を学ぼう」 塚田会員が主宰で基礎ゼミの学生50名、その他30名参加
・7月3日 SEALDsの映画「私の自由について」鑑賞会 市民を中心に80名参加
・7月7日 キャンパス科学の集い(13) 「18歳投票権と主権者教育」 松原会員 学生を含む11名参加
・7月23日 JSA中国地区会議(岡山) 吉村・増山が参加

議案

1)2015年度一般会計決算 (2015.4.1〜2016.3.31) (WEB版では省略)
  2015年度特別会計(上関埋立住民訴訟関係)収支報告書 (WEB版では省略)

 2015年度 会計監査報告
 2015年度日本科学者会議山口支部の会計帳簿および収支決算書につきまして、帳簿並びに関係証票書類に基づき監査の結果、 会計基準に則り適正に処理されているものと認めます。
     2016年10月18日
               日本科学者会議山口支部     会計監査 吉村高男

2)2016年度一般会計予算 (WEB版では省略)

3)活動方針
 前年度に引き続いて重視する課題として原発問題、憲法9条および平和と民主主義、国民の生活・生存権にかかわる問題を柱に据え、各会員の属する職場、地域、団体で科学者運動を展開する。
 山口支部の活動の柱を次のように設定する。
 (1) 平和と民主主義を守るため憲法を守る課題、立憲民主主義の回復と戦争参加をもたらす「平和安全法制」の諸法の廃止の課題にとり組む
 (2) 学問研究の自由と大学の自治を守り、科学技術の真の発展を阻害する大学や公的研究機関での軍事研究に反対し、大学等の予算増を要求する
 (3) 核エネルギー問題および自然エネルギーの研究支援にとり組む
 (4) 職場、地域、団体で科学者に要請される課題に積極的にとり組む
 (5) 会員同士さらに非会員との交流を広め、専門を越えた学術の総合的発展をめざす
 (6) 研究者の権利・地位の確立、若手研究者の処遇や学生など若者の成長の支援をめざす
こうした取り組みの中で、若い会員の入会で支部活動の活性化をはかる。

4)役員>
 代表幹事 増山、事務局長 大和田、会計幹事 笠野、会計監査 吉村、 ほか 幹事5名

5)その他
 中国地区シンポジウム(2017~2018)の準備
  地区のローテーション通り、2018年に山口で開催することで準備することとなった。
 支部創立50周年について
    代表幹事より創立12月の翌1月に新年会を兼ねて拡大幹事会をすることが提案された。
 諸行事予定など
  ミニ講座「YU学び舎」の企画が紹介され、適宜協賛することが提案された。
 その他
  議長より定期大会の時期が10月は好ましくなく、5月に開催するように意見が出された。


大会決議   軍事研究費ではなく経常的教育研究費で大学の活性化を

2016年10月29日    日本科学者会議山口支部定期大会

 近年、我が国の大学の評価が諸外国に比して低下の傾向が指摘されている。その理由には2004年の国立大学法人化以降、国による経常的経費の支援が削減され注1、研究重点大学のみが優遇されること、その重点大学でも政府・財界の目にそぐわない領域分野・課題には「投資」されないことが挙げられている。
 文科省による国家プロジェクト偏重が進み、予算のつかない領域分野・課題の研究者が疲弊する事に対しては、本年、生理学・医学ノーベル賞を受賞する大隅良典氏は競争的資金の一面的な拡充の中、すぐに成果の出る研究のみがもてはやされる現状を憂い、経常的な教育研究費を拡充することが肝要であると訴えている。
 一方、「積極的平和主義」を掲げる安倍政権は2013年12月に閣議決定した指針「国家安全保障戦略」に基づき、防衛省は「産学官の力の結集による安全保障分野での有効活用」をめざして2015年度から「安全保障技術研究推進制度」を創設し、大学等の研究機関や企業に対する競争的資金の供与を始めた。初年度は9研究課題3億円を採択し、今年度は予算を倍増して新規10課題を追加採択し、来年度は110億円を概算要求しており、民間および大学の科学技術を戦争遂行能力の向上のために取り込もうとしている。
 我が国では20世紀前半のアジア・太平洋戦争の悲惨な結果を反省し、戦後再発足した日本学術会議は1950年と1967年の2度にわたって、日本の科学者・研究者は「軍事研究は行わない」旨の声明を出している。また核軍拡競争の激化とベトナム戦争の拡大に危機感を持って1965年に結成された日本科学者会議は「自然と社会の真理を追求し、人類の進歩と人民の生活に科学を役立てることは、科学研究にたずさわるものの心からの願いである。」と宣言している
。  私たちは、大学への軍事研究費の導入は科学の発展を阻害するものと考える。科学の正しい発展のためには科学者の良心と責任のうえに、自由な研究が推進できる研究費の拡充こそが有効であることを訴える。

    注1:例えば国立大学法人山口大学への運営費交付金は2015年度決算では法人化された2004年度に比べ13%の減となっている。

第29回中国地区シンポジウムが開催されました

  テーマ 危機に立つ大学と改革の展望 ? これ以上大学を国民から切り離していいのか?
  日時 10月8日(土) 13:00-17:00
  場所 広島市西区市民文化センター大会議室(JR山陽本線横川駅から徒歩3分)
  報告
0)開会挨拶 広島支部事務局長 市川浩
1)基調報告 平手友彦(広島大教授)
     新自由主義と「知識基盤経済」のもとで変貌する高等教育?エラスムス計画からポローニャ・プロセスへ
2)中富公一(岡山大教授) 憲法破壊と大学の危機 - 安倍政権の大学政策批判 ?
3)塚田広人(山口大教授) 日本の高等教育無償化の根拠の検討
4)浜田盛久(海洋研究開発機構研究員) 学問・研究は平和のために ? 急展開する軍学協同の現状
5)総合討論とまとめ
 山口からはJSA会員3名の他、山口大学教職員3名の計6名が参加しました。

支部活動日誌
 2016年8月以降の支部および支部会員が関わった活動は次の通りです。
・9月2日〜4日 「21総学」科学と社会との緊張関係−現代社会が求める科学者の社会的責任−(京都) 吉村が参加
・10月8日 中国地区シンポジウム(広島) 山口から非会員3名を含め6名参加
・10月29日 支部定期大会
  ・11月16日 ミニ講座「YU学び舎」第1講、支部会員数名参加
・12月21日 ミニ講座「YU学び舎」第2講、溝田会員が講演(予定)
・12月24日 中国地会議に吉村全国幹事と増山支部代表幹事が出席(予定)

支部創設50周年の記録 (省略)
(付録) 支部創設50周年企画記事 (省略)

編集後記

 「つうしん」の発行予定は遅れ気味です。前号の編集後記では県知事が中国電力に上関埋立免許を延長許可したことを書きましたが、その後、県議会の与党会派による事実業の「原発推進決議」が行われました。「つうしん」での配信は時機を逸しています。県内の原発反対運動のサイトを参照してください。

JSA山口支部事務局
   〒753-8511 山口市吉田1677-1 山口大学教職員組合気付
  Tel 083-933-5034  Fax 083-921-0287  e-mail fuy-union@ma4.seikyou.ne.jp

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