日本科学者会議山口支部ニュース 第191号(通算)(2020年9月6日) |
つ う し ん |
WEB版 2020-9-17 |
政府 イージス・アショア計画を撤回萩市むつみの陸上自衛隊演習場にレーダーとミサイルのイージス・アショア基地を建設するという計画は、2017年12月に国会に諮ることもなく閣議決定されて以降、地元の住民に不安と心配をかけてきた。しかし、去る6月15日に突然と河野防衛大臣が計画中断を記者発表し、その後の政府の会議でも了承されて、防衛省の現地事務所も7月末で撤収とあいなった。イージスというレーダーと迎撃ミサイルが一体となったシステムは、もともと米海軍の艦隊をミサイル攻撃から守るために開発されたもので、弾道ミサイルを迎撃するのに使えるとして、海上自衛隊の護衛艦に導入されている。2017年1月にトランプ氏が米国大統領に就任すると、アメリカ・ファーストで米国からの農産物や工業製品を大量輸入、兵器購入の圧力があり、これに屈した安倍政権は、2017年8月に日本側かは小野寺防衛大臣と河野外務大臣が出席した日米2+2会議において、イージス・アショアの導入を表明した。イージス・アショアは日米が数千億円と10年以上の歳月をかけて改良してきた新型の迎撃ミサイルを使用し、秋田と山口の2基の地上基地で日本全土を短距離および中距離弾道ミサイルから守るという触れ込みであった。 2018年度の政府予算が執行されると同年6月に防衛省は秋田と山口に基地建設の適地調査を申し入れてきた。地元説明会では、一端ことが起こると真先に攻撃対象となることへの不安、水資源・環境破壊、まちづくり計画との矛盾のほかに、迎撃ミサイルの補助推進装置ブースターが基地周辺に落下し、地元民は背中から攻撃を受けるも同然という不安が住民側から表明された。これに対して防衛省はむつみ演習場内にブースターは落下させるから心配はないと言いはり、地元首長への大臣の公印付きの回答書でもそのように言明してきた。 その後、防衛省は2019年5月と12月の適地調査報告書でもブースターは安全に落とせると繰り返している。ところが、2020年5月に至り、ブースターを演習場内に落下させることを米国側と打ち合わせてきた結果、それにはさらに数千億円の改修費用と10年の歳月が必要と分かったという。そうまでしてイージス・アショア計画を推進するのは合理性に欠けると河野防衛相は判断し、安倍総理の同意を得た結果の計画撤回となった。地元にはさんざんに心痛を掛け、国費の数百億円の支払い済みの金と、今後の違約料は無駄になる。一体、誰が判断ミスをしたのか、糾されねばならない。 そもそもイージスシステムは基本設計から40年を経過し、その後に進歩をとげている弾道ミサイルや極超高速滑空弾には現行の迎撃ミサイルでは対応できないと言われている。盾を堅牢にすればそれを凌ぐ矛が誕生するという兵器開発のイタチごっこである。イージス・アショアは対北朝鮮であったが、今や米中対決の様相を呈し、日米軍事同盟の狙いに変化が見られるのが今回の戦略変更の遠因であろうか。 イージス・アショアは撤退となったが、山陽小野田市では宇宙防衛戦争を睨んで宇宙監視レーダーの設置準備が進んでいる。岩国の米国基地は東洋一の規模に拡充が進んでいる。住民の同意が得られないという理由での国策の中止は、まれに見る住民勝利と言うことが出来る。しかし、無理をごり押しの辺野古海上基地建設は撤回の兆しさえない。際限のない核兵器開発競争は緊張こそもたらしたが、世界の各地での紛争の平和的解決には何の役にも立ってはいない。 戦争の危機の宣伝に徒に惑わされてはいけない。わが国には平和憲法という素晴らしい武器がある。微力な住民の正論が権力の横暴を止めたのがイージス・アショアの計画中止である。主権者は国民、住民なのだから、胸を張って正義を貫きたいものである。(2020年7月27日 増山) |
報告
第55期 第3回 JSA中国地区会議の報告
7月21日(土)午後、岡山市で開催され、中国5県の支部代表と岡山支部の陪席者が(山口支部からはZoomで)参加しました。
以下、会議議事録をもとに報告します。 1.55期全国幹事会(5.31、7.11)報告など コロナ禍で5月に全国大会が開催できず、代わりに2回の全国幹事会が開催された。 2.地区推薦全国役員のローテーション(割愛) 3.各支部の活動状況と課題について 島根支部:支部は新体制でスタート。中止とした中国シンポジウムの報告は「日本の科学者」12月号に掲載 岡山支部:9月支部総会開催予定。「よもやま話の会」5月新型コロナで講演会、6月には「輝く農山村の地域づくり」講演会を開催 広島支部:コロナ感染状況で活動は困難になっている。大学ではコロナの影響で留学生が来なくなり学生定員が満たせない状況が続いている 山口支部:2月ミニ講座「わが国における気象災害の特徴」、6月「イージス・アショア−を考える」開催、イージス・アショアのリーフレットを一万部作成、イージス・アショア配備断念を受けて祝賀会とも言える学習会を開催 鳥取支部:6月に支部総会を開催し、その後毎月幹事会を開いている。5月3日憲法記念日に予定していたシンポジウムはコロナの影響で中止 4.第30回 JSA中国地区シンポの中止にともなう今後の対応について ・2022年、鳥取支部と島根支部との共催で開催予定 5.第56期第1回中国地区会議開催について 岡山支部の加賀美氏が中国地区担当の全国幹事となる ・リモート会議とし、日時は未定 山口支部幹事会の報告
支部幹事会は新型コロナ感染拡大防止と、参加者の利便を鑑み、Zoomによる遠隔会議で開催されました。
日時:9月5日(土),10時〜12時 リモート(Zoom)会議,ZoomのURL通知済 参加者: 大和田,甲斐,笠野,鈴木,濱田,増山,松原,吉村 協議 1.第51回定期大会について(報告と代議員の選出) 3.その他 |
4月以降、山口支部および会員が関係した活動 |
2020年度支部定期大会の開催について開催要項に記載の通り、オンラインで10月10日に支部定期大会を開催します。 議案書添付の様式で、参加登録もしくは委任状の送付をお願いします。9月5日 山口支部幹事会
支部定期大会の開催要領
日時 2020年10月10日(土) 10:00-12:00
会場 遠隔会議システムZoomによるオンライン開催 議題 本「つうしん」と同時配布の議案書(メールが事務局に登録の人には別途、メール添付でも送付)をご覧下さい 10月5日までにメールで連絡のあった出席予定者に、会議のIDとパスワードを10月8日にメールで送信します。 Zoomを未経験の人および事前にZoom接続を試行したい人は10月7日に予行練習をします。 申し出た人には接続テスト用のIDとパスワードをメールで送ります。 Zoomによるオンライン会議の留意点 ・ネットに接続のパソコンだけでなく、タブレット端末やスマートホンでも会議に出席出来ます ただし、カメラとマイクが付いていない場合は発言者の画像と音声を視聴するだけになります ・初めてZoomを使う人は、送られたメールに付いているURLをクリックして、Zoomのアプリをダウンロードし、「会議に参加する」をクリックしておいて下さい。その際、名前は事務局に分かる名称で登録をお願いします。そうしないと、参加を求められても確認許可することが出来ません。 ・事務局がスタンバイしている時間に参加希望者の名前を確認して参加を許可し、会議が始まります ・会議に参加する人には課金などの負担は生じません。但し、セキュリティに不安のある人は、終了後アンインストールするなど、各自の責任でお願いします。 オンライン参加が出来ない人は、事前に連絡の上、当日、山口大学理学部の会場へお越し下さい オンライン会議に関する質問、.連絡は masi3yama@gmail.com までお願いします |
編集後記
前号で報告したように4月4日のミニ講座「YU学び舎」第20講「持続可能な農山村の地域づくり」は新型コロナ対策が迷走する狭間で無事開催できたが、4月7日に7都府県で発せられた緊急事態宣言は4月16日には全国に拡大された。山口県下では3月4日に最初の感染者が発表されて以来、5月5日に累計37人に達した後は暫く発生者が出ず、緊急事態宣言も5月25日に全国的に解除となった。
ミニ講座「YU学び舎」第21講は三密を避けながら6月28日に開催できたが、大学では授業間原則対面禁止で、6月中旬になりようやく実験実習の対面授業が解禁となった。そのため編集子は4月以降、ビデオ講義資料の作成や、Zoomによる授業など、慣れないオンライン授業に悩殺される事態に陥っていた。ようやく遅れて実施の前期末試験も一段落した次第である。 新型コロナ患者の発生は7月に入って再度増加傾向にあり、山口県では7月16日以降8月9日までの間に39名となり、増加の勾配が急になりつつある。政府は経済活動活発化を優先策としているようであり、お盆休み後の感染の全国的拡大が懸念されている。 政府の曖昧な施策とは裏腹に、各所で「自粛要請」が出され、国民生活の様々な局面で生活に縛りを生じている。無策の政府を信用することも出来ず、かといって、何もしないでいるわけにも行かず、賢明な行動を編み出すしかなさそうである。(8月11日、編集子) |
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