日本科学者会議山口支部ニュース 第195号(通算)(2021年11月15日)
つ う し ん
WEB版 2021-11-25

 

2021年度(56期) JSA山口支部大会の報告

事務局長
 山口支部大会は10月30日(土)、10:00〜11:45、zoomによる遠隔会議で開催されました。 出席10名、議長委任17名で、過半数20名を越えて、大会は成立しました。
 大会は事務局長の開会の挨拶に続き、事務局長を議長に選出、代表幹事による活動報告の後、 あらかじめ配付の議事案に沿って、会計幹事による決算報告、会計監査の報告、予算案、 活動方針案が順次説明されそれぞれ挙手による採決で、反対0保留0の賛成多数で議決されました。 また役員は新たに1名を補充した9名が、全国大会の代議員候補は順位をつけて5名が、 それぞれ承認されました。
 議事を通じての参加者の意見等は次の通りでした。

2020年度活動報告

 代表幹事から資料に基づいて報告があり、コロナ・パンデミックの今後についてや、下関市立大学の現状等についてそれぞれ参加者からコメントがあり、意見が交換された。

議事

決算,監査報告
 会計幹事から2020年度の会計決算報告と会計監査からの同監査報告があり、審議ののちに賛成多数で可決された。
2021年度予算案,活動方針案
 会計幹事から2020年度の活動実績に基づいて2021年度の予算案が提示された。質疑では 特別会計の「上関立地住民訴訟関係」の会費について意見が出され、会費のあり方について、 幹事会で検討することとした。質疑ののちに採決に移り、賛成多数で可決された。
 その後、代表幹事から活動方針案が出されたが、方針案に「男女平等とジェンダーの問題について」 の内容を加えてはどうかとの意見があり、幹事会で議論することとした。質疑ののちに採決に移り、 賛成多数で可決された。
 最後に代表幹事の挨拶、事務局長の閉会挨拶で大会は閉じられました。

採択された山口支部大会の議案および議決事項

支部活動報告
 コロナ禍で行動が制限され、活動に一定の制約がある中で、支部ニュース「つうしん」で 報告のような活動を継続してきた。具体的な事項は支部活動日誌で示す。
支部活動日誌
  • 10月10日 支部定期大会をZoomで開催
       「学術会議会員の任命を拒否した菅総理大臣の作為を糾弾する」を大会決議 
  • 10月18日 YU学び舎第22講 「高レベル放射性廃棄物」はふやさない,埋めない−「科学的特性マップ」の問題点−、話題提供 関根一昭さん をカリエンテ山口とZoom配信で開催
  • 11月下旬 学術会議会員任命拒否問題の大学教員有志が提案した署名活動に取り組む
  • 12月4〜6日 日本科学者会議第23回総合学術研究集会(東京;Zoom開催) 5日午前C2平和問題分科会で増山会員が「計画中止に追い込まれたイージス・アショアと山口県の地元のたたかい」と題して報告
  • 12月8日 第40回山口平和行進出発式(9時、県庁藩庁門前) 増山会員が来賓挨拶でイージス・アショアの配備撤回と学術会議会員任命拒否問題に関して述べた
  • 12月20日 YU学び舎第23講 「イージス・アショア配備断念と敵基地攻撃能力」
      増山会員が「なぜ、イージス・アショアを断念したか」、外山氏が「」敵地攻撃能力とは」、松原会員が「敵地攻撃能力の保有は憲法違反」の3本の報告をし、参加市民からも活発な質疑、意見表明があった。参加者は27名
  • 2月15日 支部ニュース「つうしん 193号」発行 濱田会員が「いま、下関市立大学で起きていること」を寄稿
  • 2月13日 岩国平和委員会新春講演会「敵基地攻撃能力の保有で「平和」を実現できるのか」参加者30名程度 松原会員が講演
  • 2月16日 宇部市平和まちづくり学校「福島第一原発事故10年」 参加者16名、増山会員が講演
  • 3月23日 JSA56期中国地区会議第1回がオンラインで開催 山口支部からは大和田、増山会員が参加
  • 5月3日 憲法を守る山口集会で松原会員が「”わきまえない”人々と憲法」と題して講演、市民120人参加
  • 5月15日 YU学び舎第24講「コロナ・パンデミックの中での地域医療とまちづくり」 野田会員がオンライン講演
  • 5月30日 原発をつくらせない山口県民の会第25回総会 増山代表世話人が挨拶
  • 5月30日、6月13日 JSA第51回定期大会 山口支部からは 松原(30日)、大和田(13日)会員がオンライン参加
  • 6月15日 原発をつくらせない山口県民の会、JSA山口支部、他3団体の連名で山口県に上関原発計画にかかる海上ボーリング調査の許可の取り消しを申し入れ
  • 7月11日 YU学び舎第25講「日本に風力発電はいらない!石狩湾岸で抱える様々な問題」石狩市民の会の安田さんがオンラインで話題提供
  • 7月20日 JSA57期中国地区会議がオンライン開催され、増山代表幹事が参加
  • 8月9日 山陽小野田市の宇宙監視レーダー基地建設に反対する会の第2回学習会(埴生地区公民館)で増山会員が講演
  • 8月18日 支部ニュース「つうしん 194号」発行
  • 9月15日 支部幹事会(Zoom)
  • 9月29日 航空自衛隊防府北基地に第2宇宙作戦隊の配備計画がある件でC新聞が取材(増山会員が対応)

    議事

    1.決算、予算
      1)2020年度一般会計決算 (2020.4.1〜2021.3.31)
          収入 1,382,387(内、繰越 712,738)  支出 1,382,387(内、繰越 934,340)
      2)2020年度特別会計(上関埋立住民訴訟関係)収支報告
          収入 60,850  支出 60,850
     2020年度 会計監査報告
     2020年度日本科学者会議山口支部の2020年度会計帳簿および収支決算書につきまして、帳簿並びに関係証票書類に基づき監査の結果、会計基準に則り適正に処理されているものと認めます。
    2021年9月30日(木)
    日本科学者会議山口支部 会計監査
      3)2021年度一般会計予算
          収入 1,457,150(内、繰越 934,340)  支出 1,457,150(内、予備費 883,550)

    2.2021年度の支部活動方針
     様々な困難を抱えている中での活動であるが、これまでの支部活動を引き続いて、 重視する課題としての原発問題、憲法9条および平和と民主主義、国民の生活・生存権に かかわる問題に加え、安全保障・防衛・宇宙監視レーダー問題、大学での軍事研究および 教育研究のあり方に関する問題、さらに新型コロナウイルス禍での教育研究問題を柱に据え、 各会員の属する職場、地域、団体で科学者運動を展開する。
     山口支部の活動の柱を次のように設定する。
    1)平和と民主主義を守るため憲法を守る課題、立憲民主主義の回復と戦争参加をもたらす「平和安全法制」の諸法の廃止の課題、および敵基地攻撃論などの新たな動向への反対等にとり組む
    2)学問研究の自由と大学の自治を守る。科学技術の真の発展を阻害する大学や公的研究機関での軍事研究に反対する。さらに研究者が自主的に裁量できる予算増を求める。また大学法人化後の大学運営のガバナンスを巡る問題や研究者学生の処遇の変化や新型コロナウイルス対策の影響についても注視する
    3)高濃度放射性廃棄物の処分問題、核エネルギー問題および自然エネルギーの研究支援にとり組む
    4)職場、地域、団体で科学者に要請される課題に積極的にとり組む
    5)会員同士さらに非会員との交流を広め、連帯した運動により、専門を越えた学術の総合的発展をめざす
    6)研究者の権利・地位の確立、若手研究者の処遇や学生など若者の成長の支援をめざす

     会員の高齢化や会員数の減少傾向が続く中、これまでの活動を集約し、将来に展望が開ける活動の あり方を模索し、新しいエネルギーを引き出して民主的科学者運動の継承発展を期する。

    3.次期幹事会役員構成
       代表幹事 増山、事務局長 大和田、会計幹事 笠野、会計監査 吉村
       幹事 甲斐、鈴木、濱田、松富、松原

    4.その他
      全国大会代議員候補 大和田、増山、松原、鈴木、吉村


  • 支部大会で会費未納者への対応等の意見があり、支部規約や申し合わせについての認識の共有が不十分であったので、以下に資料をつけます。

    日本科学者会議山口支部規約
    第1条 日本科学者会議会則(以下、本会則と略記する)の目的を達成するため、第10条に規定する山口県の支部「日本科学者会議山口支部(以下、支部と略記する)」として活動する。
    第2条 支部の議決機関は支部大会(以下、大会と略記する)であり、1年を経過しない間隔で幹事会の招集で開催する。ただし、支部会員の3分の1以上の要求がある場合は臨時に開催する。
    第3条 大会は支部会員の過半数の出席(文書による意思表示および委任状を含む)で成立し、出席者の過半数の賛成で議決する。ただし、大会を開催することが困難な場合は支部会員の投票(郵便、あるいは電子メール)を行い全会員の過半数の賛成で議決することが出来る。
    第4条 大会は支部の活動方針、予算・決算の承認、役員の選出、およびその他支部の運営に必要な事項を決定する。
    第5条 支部に次の役員をおき、幹事会を構成する。
      代表幹事1名、事務局長1名、会計幹事1名、会計監査1名、その他幹事若干名
    第6条 幹事会は大会の決定に基づき支部の運営にあたり、役員の過半数の賛成で必要事項を決定する。
    第7条 会員の入退会、異動は幹事会で承認を行う。
    第8条 職場に複数の会員がいるところは班をもうけることができる。また必要に応じて複数の班をもって分会をつくることができる。班・分会の設置については幹事会で承認をえなければならない。
    第9条 本会則および支部規約に規定されていないことはそれらの趣旨ならびに科学者会議の目的に沿って幹事会で判断して行い、次期大会で承認をえなければならない。
    第10条 支部規約の変更は大会で行う。
    附則 この規約は、2015年10月31日から施行する

    2016年度以降の年会費 (2015年定期大会確認)
      正会員 12,000円、 退職会員 9,000円、 学生会員 7,200円
    会費未納者に関する申し合わせ(2017年定期大会確認)
     会費の未納が3年を越える場合は、会誌の配付を停止し、同時に支部大会に関わる会員数から除外する。なお、退会の手続きは従前通り、本人からの文書による申出を幹事会で承認することとする。
    具体的流れ
     事務局に連絡なく、3年を超えて年会費を納めない会員には会誌「日本の科学者」の配付を停止する。会誌を停止された会員は支部規約第2,3条の支部大会にかかる会員数に含めない。
     この申し合わせは,2017年10月1日から適用する。但し、現に2年を超えて会費納入のない会員ついては、上述の3年の起点は2016年4月1日に遡ることとする。督促は別便で連絡する。


    上関の海上ボーリング調査許可についての山口県の回答
     前号「つうしんNo.194(8月18日)」に報じたように、原発をつくらせない山口県民の会ほか4団体が、 中国電力による上関原発計画予定地の海上ボーリング調査申請について県の許可の取り消し及び、 工事等の凍結を求める申し入れを県知事宛に提出していました。この申し入れは6月22日に県庁で 行われましたが、文書による回答が6月30日付で送られてきたので、資料として掲載します。
     住民の安心・安全、暮らしと命を守るという視点はみじんも感じさせません。もっぱら国と 電力会社の下請けを行っているかに見受けられます。本当の地方自治とは何かという観点から 専門家の反論を期待したいところです。

    資料

    令3商政第278号
    令和3年(2021年)6月30日
    原発をつくらせない山口県民の会
    憲法を活かす市民の会・やまぐち
    自由法曹団山口県支部
    日本科学者会議山口支部
    山口県民主医療機関連合会
    山口県商工労働部理事
    中国電力による上関原発計画予定地の海上ボーリング調査申請について
    許可の取り消し及び、工事等の凍結を求める申し入れ」について(回答)
     令和3年6月22日に申入れのありましたこのことについて、県としての回答は当日に申し上げたとおりです。
     なお、その際の回答の要旨については、下記のとおりです。

    1 申入事項の1について
     一般海域の占用を含む県所轄の許可については、どこまでも法令に従い、適正に対処してきたところであり、取り消すことは考えていない。

    2 申入事項の1の@について
     令和3年5月20日付で中国電力から申請された海上ボーリング調査に係る一般海域の占用については、条例に基づき適正に審査し、申請内容が条例の許可基準に適合していることから許可したものであり、法律上の重大な問題が生じるのではないかとのご指摘は当たらない。

    3 申入事項の1のAについて
     県としては、原発立地によるまちづくりを進めたいという地元上関町の政策選択を尊重する立場で対処している。

    4 申入事項の1のBについて
     原子力災害における避難計画については、原子力災害対策特別措置法、災害対策基本法等に基づき、関係する地方公共団体が地域防災計画の原子力災害対策の中で定めることとされている。
     この計画については、一般的には原子炉設置許可以降、運転開始までの間に原子力災害対策指針等を踏まえて、国や関係市町、関係機関と協議を行いながら策定することになる。

    5 申入事項の1のCについて
     国において、福島原発事故の教訓等を踏まえ、原子力規制委員会が設立され、新たな規制基準が策定されるなど、原発の安全対策が強化されたものと理解している。
     県としては、今後とも、国及び事業者の責任において、原発の安全性を不断に追及していくことが必要であると考えている。

    6 申入事項の2について
     作業スケジュールが大幅に遅れ、今後の海象条件等からみて、占用許可期間内での占用行為の完了が困難であったためと承知している。

    7 申入事項の3について
     上関原発建設計画は、事業者である中国電力が、国のエネルギー政策に沿って進めてきたものであり、上関原発の建設をどうするかは、事業者自らが判断すべきものであると考えている。

    8 申入事項の3について
     エネルギー政策は国家運営の基本であることから、県としては、原発をどうするかについては、安全性、信頼性の確保を大前提に国の責任で判断されるべきものと考えている。
     したがって、国に対し、エネルギー基本計画に原発の新増設を盛り込むかどうかについて意見を述べる立場にはない。


    (再掲) 6月22日の申し入れ事項

    1. 中国電力に対して、安全基準の変更に伴う新規原発の新規制基準が策定されるまで、「一般海域の占用許可」を含む全ての許可を白紙に戻し、工事等を凍結すること。なお、策定された場合は、情勢を踏まえて立地可能調査を含め計画の見直しをさせること。
    (1) 既存原子力発電所に係る国の安全基準が大きく変更されているにも関わらず、中国電力による上関原発建設計画は旧来のままのものである。原子力発電所の建設を計画するのであれば、今後新たな建設計画の作成提出が不可欠のものであるにも関わらず、公有水面の埋め立てに繋がりかねない調査を施行しようとすることは、法律上の重大な問題が生じるものではないか。
    (2) 上関原発の建設に関し「地元意思の尊重」と言う場合の地元とは、具体的にどのような範囲を指したものか。
    (3) 上関大橋の安全性については損壊事故以来、様々な懸念が表明されているが、このことは原発事故に関する避難計画の信頼性を大きく損ねているのではないか。
    (4) 当初、計画時と現在の原発を巡る情勢の変化を、県当局はどのように捉えているのか。
    2. 中国電力が、2020年12月15日にボーリング調査を断念した理由についてどのように把握されているのか。
    3.上関原発建設計画を中止すること。
    4.国に対して、エネルギー基本計画に原発の新増設を盛り込まないよう要望すること。

    書籍の紹介

     岩波ブックレット 駒込武編 「私物化」される国公立大学
       7つの大学の現場から報告されているが、その最初に下関市立大学が取り上げられている。その後の推移を補足すると、着任する前に副学長となったH教授は次期学長に内定。ますますトップダウン・暴走が懸念されている。

    編集後記
     10月下旬より全国的にコロナ感染の第5波が収束傾向となった。山口県でも11月3, 4日の新規感染は7月23日以来となる0名であった。しかし、一部で言われているようにウイルス自身が弱体化したわけではないようで、市中に潜んでおり、実際5日には再び7名の感染が報じられている。また、海外では感染拡大が報じられている国が少なくない。その後、11日には山口県の人口10万人あたり1週間の感染者数は全国順位3位まで上昇し、第5波の減少傾向は底を打ったことに間違いないようだ。(11/25追記 その後は全国的にも減少を保っている・・・)
     10月30日の支部定期大会に参加のN医師は、ワクチンの効果が弱まるにつれ、第6波の到来が年末年始に来るとの予測を紹介された。また、異常気象を筆頭にする自然環境の激変の中で、マダニウイルスなどの新たなバンデミックのリスクは回避できない。人間社会の格差拡大が問題を深刻化させており、地域社会の再生のための協同組合の活動の意義を述べておられた。
     編集子の実家がある中山間地でも近年、野獣の進出が著しく、動物媒介の感染症は他人事ではない。だが、老齢・過疎化がすすむ中で、すでに隣近所に手を貸す互助が難しくなっている。他方、町の周辺でまだ人手はあるが、共同社会を支えるノウハウが失われつつあるのではという危機感を持つのは編集子だけだろうか。
    JSA山口支部事務局
       〒753-8511 山口市吉田1677-1 山口大学教職員組合気付
      Tel 083-933-5034  Fax 083-921-0287  e-mail fuy-union(at)ma4.seikyou.ne.jp

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