| 日本科学者会議山口支部ニュース 第208号(通算)(2026年1月15日) |
| つ う し ん |
| WEB版 2026-1-20 |
| 核兵器は戦争の抑止力となるのか? | |
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| 日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)がノーベル平和賞を受賞して1年が経ちます。核兵器廃絶の声に対して、軍拡や侵略をする国が闊歩する情勢のもと、平和を守るために核兵器が必要だという核抑止論が強まっていると伝えられています。ここでは抑止力論を批判する2つの宣言を紹介します。 | |
| 核兵器に関する2024年のマイナウ宣言 | |
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最初の核兵器に関するマイナウ宣言は1955年にノーベル賞受賞者のリンダウ会議において、米ソの冷戦時代に核兵器の使用に反対して発せられ、日本の湯川秀樹博士も署名したことで有名です。 そして2024年、2回目の核兵器に関する宣言が発せられましたが、これについては、日本物理学会誌2025年11月号に学術会議前会長の梶田隆章氏が寄稿しているので、その記事を要約します。 核兵器は戦争の抑止のためと称していたが、ロシアはウクライナ侵略戦争を邪魔させないための脅しとして使い始めている。核兵器と戦争抑止の考え方が変わったといえる。2024年のノーベル賞受賞者によるリンダウ会議は「偶然であれ意図的であれ、恐ろしい核兵器が使われる可能性があり、我々が知っている人類文明の終焉をもたらす可能性がある。我々は、世界の人々と指導者たちにこの可能性について警告し、我々の警告に耳を傾け、この大惨事を防ぐために行動するよう促す必要があると感じた。」との認識を持った。そして会議最終日のマイナウ島でのセッションに集まった、梶田隆章(2015年に受賞)ら30名の物理学・化学のノーベル賞受賞者が署名して宣言を発表した。その後、多数の受賞者や若い研究者からも賛同署名が集まっている。(参照:https://www.lindau-nobel.org/mainau-declaration-2024/)
(参考) 1955年のマイナウ宣言 署名者の我々は、異なる国家、異なる教義、異なる政治的信念を持つ科学者である。外見上、我々は、かつてノーベル賞を受賞したということだけで結びつけられている。我々は喜んで人生を科学のために捧げてきた。我々は、それが人々の幸せな生活につながる道であると信ずる。我々は、この科学が人類に自身を破滅させる手段を与えてしまったことに慄然としている。今日、軍事利用することのできる全ての兵器によって、全ての人類を滅ぼすほどに地球を放射能で汚染することができる。中立国も交戦国と同じように滅びてしまうだろう。 もし大国の間で戦争が勃発すれば、双方命懸けの衝突に発展しないと誰が保証できるだろうか?戦争に参加する国は、自身の破滅のきっかけとなり、さらに全世界を危険にさらす。 我々は、これらの兵器への恐怖感によって平和が正しく保持されるかもしれないということは否定しない。しかし、我々は、政府がそれらの兵器への恐怖によって長い間戦争を避けることができると信じているとすれば、それは妄想であると考える。恐怖と緊張は、しばしば戦争を引き起こしてきた。同様に、将来起こる小さな紛争が常に伝統的な兵器によって決着がつくと信じることは妄想であると思われる。非常に危険な時には、科学技術が生み出したあらゆる兵器の使用を否定する国はない。 全ての国が、政治の最後の手段として暴力に訴えることをやめることを自主的に決意しなければならない。もしそうしなければ、その国は消滅することになる。 | |
| 2025年8月6日 抑止論の幻想を打ち破り、核兵器廃絶という光に向けて這い進め | |
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広島での平和記念式典での挨拶で、湯崎広島県知事は「核抑止論」を批判し、核兵器廃絶を訴えました。以下、知事挨拶を抜粋して紹介します。(上記のタイトルはつうしん編集者) 草木も生えぬと言われた75年からはや5年、被爆から3代目の駅の開業など広島の街は大きく変わり、世界から観光客が押し寄せ、平和と繁栄を謳歌しています。しかし同時に、法と外交を基軸とする国際秩序は様変わりし、剥き出しの暴力が支配する世界へと変わりつつあり、私達は今、この繁栄が如何に脆弱なものであるかを痛感しています。 このような世の中だからこそ、核抑止が益々重要だと声高に叫ぶ人達がいます。しかし本当にそうなのでしょうか。確かに、戦争をできるだけ防ぐために抑止の概念は必要かもしれません。一方で、歴史が証明するように、ペロポネソス戦争以来古代ギリシャの昔から、力の均衡による抑止は繰り返し破られてきました。なぜなら、抑止とは、あくまで頭の中で構成された概念又は心理、つまりフィクションであり、万有引力の法則のような普遍の物理的真理ではないからです。 自信過剰な指導者の出現、突出したエゴ、高揚した民衆の圧力。あるいは誤解や錯誤により抑止は破られてきました。我が国も、力の均衡では圧倒的に不利と知りながらも、自ら太平洋戦争の端緒を切ったように、人間は必ずしも抑止論、特に核抑止論が前提とする合理的判断が常に働くとは限らないことを、身を以て示しています。 実際、核抑止も80年間無事に守られたわけではなく、核兵器使用手続の意図的な逸脱や核ミサイル発射拒否などにより、破綻寸前だった事例も歴史に記録されています。 国破れて山河あり。 かつては抑止が破られ国が荒廃しても、再建の礎は残っていました。 国守りて山河なし。 もし核による抑止が、歴史が証明するようにいつか破られて核戦争になれば、人類も地球も再生不能な惨禍に見舞われます。概念としての国家は守るが、国土も国民も復興不能な結末が有りうる安全保障に、どんな意味があるのでしょう。 抑止力とは、武力の均衡のみを指すものではなく、ソフトパワーや外交を含む広い概念であるはずです。そして、仮に破れても人類が存続可能になるよう、抑止力から核という要素を取り除かなければなりません。核抑止の維持に年間14兆円超が投入されていると言われていますが、その十分の一でも、核のない新たな安全保障のあり方を構築するために頭脳と資源を集中することこそが、今我々が力を入れるべきことです。 核兵器廃絶は決して遠くに見上げる北極星ではありません。被爆で崩壊した瓦礫に挟まれ身動きの取れなくなった被爆者が、暗闇の中、一筋の光に向かって一歩ずつ這い進み、最後は抜け出して生を掴んだように、実現しなければ死も意味し得る、現実的・具体的目標です。 諦めるな。押し続けろ。進み続けろ。光が見えるだろう。 そこに向かって這っていけ。(2017年ノーベル平和賞受賞式でのサーロー節子氏のスピーチ) 這い出せず、あるいは苦痛の中で命を奪われた数多くの原爆犠牲者の無念を晴らすためにも、我々も決して諦めず、粘り強く、核兵器廃絶という光に向けて這い進み、人類の、地球の生と安全を勝ち取ろうではありませんか。 引用 広島県ホームページ
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| 山口大学授業料値上げと反対の学生のビラ配布規制問題 |
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山口大学は2025年9月25日「令和8年4月以降に入学を希望される皆様及び保護者の皆様」と題するホームページを公開し、新年度入学者から20%約10万円の年間授業料値上げの方針を示した。 教職員・学生の反対運動が起こる中、10月23日に経営協議会は値上げ案を承認し、学長決裁を経て10月30日に学長が記者会見した。大学側の説明は11月14日にホームページで公表した「ご意見受付フォーム」に寄せられたご意見等に対する本学の考え方」(以下、”Q&A”と略記)に述べられている。 全国の国立大学に当てはまる「国立大学法人化以降の運営費交付金の減、一部の競争的資金化、昨今の物価高騰、特に電気代の高騰や賃上げ」が理由として挙げられている。これ以外に山口大学固有の事項として、Q&Aの31で「附属病院の再開発事業に伴う借入金の返済負担」「大学から病院に対して2億円の経営支援」が注目されよう。銀行からの借入金で10年以上前から進めていた附属病院のある小串キャンパスの再開発は2025年夏に外来診療棟の改修で竣工している。デフレからインフレ経済になったことで借金が返せないというのでは経営責任が問われよう。経営協議会には地元企業や銀行幹部も名を連ねており、一体どうしたことであろうか。借金の担保に学生の授業料があてられると揶揄されても仕方がなかろう。Q&Aの43では 「学長をはじめとする執行部に身を切る覚悟(給与カットなど)」が問われているが、大学当局は答えをはぐらかしている。 この授業料値上げに反対する学生に対して、ビラ配布を禁ずる動きがあったことは、値上げ問題以上に驚くべき事態であるといえる。10月22日の学費値上げ反対集会において、学生が「無許可でビラを配布していたため、当課の職員がビラの配布をやめるよう注意した」(この引用文は11月18日付の学生支援課の文書から抜粋)。そして11月18日開催の教学委員会では学生支援課から 「学生による学内でのビラの配布については、学生支援センターのホームページに記載しているものの、規則として明文化されていない。」そこで、学生細則に規定を追加したい。 具体的には学生細則に「印刷物の配布」条項をという項を挿入し、 ・課外活動団体は、所定の手続きにより配布場所の管理者の許可を得た場合に限り印刷物等(ビラ又はチラシ等)を配布することができる ・これ以外で学生は個人で印刷物等を学内で配布してはならない などとする、と提案があった。 当日の教学委員会では結論に至らなかったようだが、文案は事務方に任せると言うことになったとして、早速、「学生のビラ配布原則禁止」と学生支援センターのHPに掲載した。これには12月12日、授業料値上げに抗議する学生等が「言論弾圧反対」を掲げて学内デモを行っている 。 その後の12月16日の教学委員会では文言の修正が諮られたようだが、12月29日時点で、学生支援センターのHPでは以下のように掲載されている。 勧誘等ビラ・チラシの配布許可(窓口で直接申請) ① 学生又は課外活動団体が,ビラ又はチラシ等の印刷物を学内で配布しようとするときは,所定の手続きにより,学生は所属学部長等,課外活動団体はその配布場所の管理者の許可を得なければならない。 ② 配布の許可を得た学生又は課外活動団体は,通行の妨げにならないよう配慮するとともに,学内で投棄された印刷物等は責任を持って回収するよう努めるものとする。 (上記はR7.12.16 教学委員会にて合意した内容であり、教学委員会の最終決定及び教育研究評議会の審議を経て決定されます。) 学生を子ども扱いにしているようである。学生のビラ配布を許可制にし、公職選挙法では立派な有権者である学生の表現の自由に制約を掛け、大学執行部批判を抑え込もうとしていると批判されている。 |
| 国東半島から周防大島にかけて60㎞に達する海底活断層について(続報) |
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| 前号のつうしん207号の編集後記に記載のように中国電力は総延長60㎞以上の活断層を半分の長さの2つの断層に分けて地震評価をしています。これは1月5日に報じられた中部電力の地震動過小評価に相当すると言われざるを得ないでしょう。さて、前回の記事に関しては、山口県の地震・津波防災対策検討委員会において「南海トラフ・周防灘断層群地震津波被害想定の見直しについて」検討を進めていることが分かりました。具体的内容は山口県ホームページ2025年8月の第5回委員会の議事録にあります。 そして、前に検討していた活断層に加えて、新たに「防予諸島沖(国東半島沖)の海底活断層による地震」(上述の活断層)などを想定地震候補に追加し、「令和8年度中:県内活断層に係る地震被害想定の公表」としています。 |
| 支部年会費の前納のお願い(支部会計幹事) |
| 12月に送付された会誌1月号添付の会費の請求額と郵便振込用紙を確認の上、納付をお願いします。 |
| 支部活動日誌 |
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・09月16日:支部ニュース「つうしん」No.207 発行 ・12月01日:ゆきとどいた教育をすすめる会の県議会請願行動(山本会員) ・12月02日:上関への中間貯蔵施設に反対する請願(原発をつくらせない山口県民の会、代表増山会員) |
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編集後記
大学の「ビラ規制」を耳にして、香港の大学ならいざ知らず、これが日本の国立大学のやることかと驚愕した。しかも一部の事務方が正式決定を待たずに提案した通りになると見越して規制を始めた!おそらく学長及び執行部に忖度した行動であろうし、教授会や教育研究評議会などどうにでもなると踏んでいるのであろう。嗚呼、なんということだ!この通信が届くころには「教学委員会の最終決定及び教育研究評議会の審議を経て決定され」ているのであろうか? |
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