大会決議
2020/10/10

 

学術会議会員の任命を拒否した菅総理大臣の作為を糾弾する

2010年10月10日
日本科学者会議山口支部定期大会

 日本学術会議が推薦した新任会員候補者のうち6名の任命を菅総理大臣が明確な理由を示すことなく 拒否したことは明らかな違法行為であり、直ちに推薦通りに任命することを求める。
 第二次世界大戦に先立ち、時の政府の見解に反する学説を唱えたとして学者が弾圧を受けたこと、 また、惨禍をもたらした大戦に科学者が協力させられたことの反省の上に、戦後、憲法に学問の自由が明記され、 政府から独立して職務を遂行する日本学術会議が設立された。日本学術会議法では、 学術会議が「優れた研究又は業績がある科学者のうちから会員の候補者を選考し」(第17条)、 会員はこうした学術会議の「推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する」(第7条)と規定されている。 ここには政府が任命を拒否したり、勝手に任命する余地はない。
 菅氏は安倍内閣の官房長官として内閣法制局長官人事に介入し、大半の法学者の反対を無視して 「解釈改憲」で「安保法制」を合憲とする法制局の忖度を引き出した。総理大臣として 「反対者は去ってもらう」と公言して、事前に法制局の「合法性」を得ていると吹聴するが、 これは法治主義も投げ捨てた暴君であるかの振舞いである。
 わが国の科学者を代表して科学の発展を図るという使命を帯びた学術会議会員の選考に 時の政府の意向が反映されてしまうと、政府の政策に忖度した審議と化し、学問の自由を 歪めることになろう。また、任命拒否は科学者への名誉毀損とも言え、政治権力の圧力は 政府の考えと異なる思想信条を持つ科学者の学問の自由への重大な侵害となる。
 憲法と法律に忠実であるべき政府・内閣のあるべき姿に反する行為を直ちに改めるように求める。 これは自由で民主的で平和な国家を希求する国民の声である。

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