ミニ講座 YU学び舎第18講(2019年12月15日) |
「自律型ロボット兵器の開発と禁止運動の現状」 |
講師 小金澤鋼一 (東海大学教授、工学部)
防衛装備庁の安全保障技術研究推進経費が19年度に採択された山口大学において、東海大学の小金澤氏を講師に招いて、12月中旬に標記講演会が開催され、市民・学生を含め50余名が熱心に聴講し、質疑が行われた。
政府は19年度からの中期防において無人機部隊の新編成、電子戦機の導入、AIを搭載した自律型ロボット兵器の開発を進めるとしている。
ロボットは自律性を有し、ヒトの判断を介さずに行動する。既にいくつかの国がドローン攻撃機や無人装甲車を実戦配備している。
ロボット兵器には自律性の程度で半自律・監視付自律・完全自律がある。
交戦の決定を人間が行う半自律ロボットでも、過去において無差別に非戦闘員を殺した多くの事例報告がある。
将来、AIによる完全自律ロボットが行動すると、AIが判断した理由も分からないまま、ロボットが暴走することが危惧される。
これに対して、著名な知識人およびAIやロボットの研究者が完全自律型ロボット兵器の開発に反対の声を上げており、また国連においても禁止条約制定の動きがある。
質疑のなかで、イージス艦のシステムは通常は半自律で人間が交戦決定をしていが、飽和攻撃に対して人間の手を離れて交戦する可能性があることや、東海大学での軍事研究反対の取組についての紹介があった。