日本科学者会議山口支部ニュース 第183号(通算)(2018年7月11日)
つ う し ん
WEB版 2018-7-11

 

J日本科学者会議第49回(54期)定期大会の概要報告

吉村高男(JSA山口支部 全国幹事)

 日本科学者会議(JSA)第49回定期大会は5月26日(土)・27日(日)に、駒澤大学(東京都世田谷区)を会場にして開催された。この大会では、会員数が3600人台になった現在、各支部からの代議員による審議・協議により、2017年度(53期)活動報告と決算、及び2018年度(54期)活動方針と予算が採択された。また、54期の全国幹事、会計監査、全国参与を決定・承認された。全国幹事の推薦が間に合わなかった2支部(広島、長崎)については、大会の休会中に54期第一回幹事会が開催され、常任幹事会に委権することが報告された。同時に幹事会では、代表幹事3人、常任幹事25人を互選し、「日本の科学者」編集委員の承認があった。さらに、幹事会途中の54期第一回常任幹事会で事務局長(井原聡氏)、事務局各役員が互選された。来年度への新しい体制づくりに責任を持つということで、全員、昨年度と同様のメンバーで今年度の事務局は運営されることになった。
 この定期大会では、3年間にわたった会則改定の議論を終了し、新しい会則および地区規則、地区委員の選出方法、幹事会規則が制定された。来年の4月1日より新しい会則が施行される。そのため、今年度までは従来の体制で運営されることが確認された。
 地区規則については、これまで会則としては規定されていなかったが、地区割りそのものは現行の9地区のままとして、新しく規定された。中国地区で推薦する幹事は1名となった。
 地区委員については、地区に所属する各支部の代表1名と大会で承認された地区推薦幹事を地区委員とすることになった。
 幹事会規則については、幹事の推薦は各地区で行い、来年度からの幹事については、従来の常任幹事の任務を遂行することになった。参与の規定は削除され、参与は来年の3月31日までの任期となった。
 ところで、財政問題については、まだまだ予断を許さない状況にあるが、民主的な科学者運動を続けているJSAとしては、その活動力を低下させることはできない。従来から掲げている(1)人類の生存と平和的繁栄のために研究を行い社会に働きかける、(2)高等教育と科学・技術の真の発展のために発言し行動する、(3)本会の全力を注いで組織を強化・活性化し科学者運動を発展させる、(4)「日本の科学者」を充実・普及する、という観点から各支部で実践した活動報告と今後の活動方針について議論と確認が行われた。
 大会決議文については、9本の決議文(案)が事務局や各支部から提出され、今回2回目の起草委員長を務めた私としては、それらの内容を総括して、決議文としてまとめていくことに例年になく労力を費やした2日間であった。様々な専門を有する会員の皆さんのおかげで何とか5本の決議文にまとめることができ、感謝している。大会決議文としては、(1) 教育研究の存亡の危機にあたり、全ての大学人に訴える!(2) 憲法9条改悪に反対するとともに、今こそ9条に基づく外交を求める、(3)原発のない社会の実現を求める、(4)軍事一辺倒の外交・安全保障政策を転じて、平和で核兵器のない東アジアをつくりだそう、(5) 地方自治にも法治主義にも反する辺野古新基地建設を、科学者のあらゆる知見を使って阻止しよう、の5本の大会決議文を採択して大会を終了した。


シンポジウム実行委員会からのお知らせとお願い

第29回中国地区シンポジウムが開催されます

2018年7月6日
日本科学者会議山口支部 地区シンポジウム実行委員会

 日本科学者会議の中国地区5県の支部では共同して隔年で地区シンポジウムを開催し、今年は第29回を山口で開催することになりました。昨年来、山口支部を中心とする準備委員会は企画案の作成、講演の募集などの準備を進めております。
 その結果、シンポジウムを下記の要項で開催することとなりました。まだ、若干の講演枠の余裕がありますので、追加の申し込みはなるべく早く、実行委員会宛にお申し出ください。
 11月には多くの会員、市民、学生の皆様の参加を期待しております。

開催要項

1:日時 2018年11月3日(土) 13:30~17:30 
 (講演申し込みの多少により変更することがあります)
2:会場 山口大学教育学部11番講義室 
 (山口市吉田の本部キャンパス内で、最寄りの湯田温泉駅(JR山口線)から徒歩20分)
3:主題 「流動する東アジア情勢と憲法改正論議」
 (今後の情勢の変化で一部修正の可能性があります)
4:プログラム(時間、順番は講演やコメントの申し込みにより変更することがあります)
 13:30 開会のあいさつ
 13:40 特別報告(1) 岩国基地機能の拡大と問題に関して 吉岡光則(岩国市在住、平和委員会)
 14:10 特別報告(2) イージス・アショア候補地のむつみ自衛隊演習場と周辺住民 田村健二(萩市むつみ在住、農業)
 14:30 学術講演(1) 「東アジア平和共同体構築の展望と課題:中国・北朝鮮の脅威論を超えて 纐纈 厚(山口大学名誉教授、明治大学特任教授)
 15:00 コメント(1) <募集>
	===== 休憩 =====
 15:30 学術講演(2) 「憲法への緊急事態条項を加える問題」松原幸恵(山口大学准教授)
 16:00 コメントまたは小講演(2) <募集;憲法9条3項を加えることに関して>
 16:20 学術講演(3)  <募集>
 16:50 学術講演(4) 「アベ政治」とは何か――権威的集権システムと「グローバル軍事大国化」中島茂樹(立命館大学名誉教授、岡山支部)
 17:20 まとめと閉会挨拶
        注:講演時間には5分程度の質疑の時間を含む
5:科学者会議会員だけでなく、市民・学生を含め、参加は自由
6:講演もしくはコメントの申し込み
  各県支部の事務局を通して下記の連絡先に出来るだけ早く申し込んでください
7:実行委員会および連絡先
   日本科学者会議山口支部  〒753-8511 山口市吉田1677-1 山口大学教職員組合気付
    Tel 083-933-5034  Fax 083-921-0287  e-mail  fuy-union@ma4.seikyou.ne.jp
   実行委員長 増山博行(山口大学名誉教授) e-mail  masi3yama@gmail.com

支部幹事会声明を発表

 陸上型のイージスシステムを萩市の陸上自衛隊むつみ演習場を候補とするとした政府の方針に対して、7月初め、持ち回りの支部幹事会で検討した結果、下記の声明を出すことになりました。6日に安倍総理大臣、小野寺防衛大臣、村岡山口県知事、藤道萩市長、花田阿武町長にFAXするとともに、マスコミ6社にメール添付で送付しました。(支部事務局)

むつみ自衛隊演習場をミサイル基地とすることに反対する


2月以降の山口支部が関係した活動

・2月11日 第52回思想と信教の自由を守る山口県民集会 会場:教育会館 主催:実行委員会
  京都大学の高山佳奈子教授が「精神的自由・民主主義と共謀罪」について講演
・3月24日 第5回上関原発を建てさせない山口県民大集会 会場:維新公園 主催:実行委員会 
・3月31日 ミニ講座「YU学び舎」第9講 会場:山口大学会館 参加者11名
  元山口支部会員で現在西南学院大の有田謙司教授が「労働者(働く人びと)の人権・基本権としての健康
   −労働時間の上限に対する権利と安全衛生に対する権利−」について話題を提供し、時間一杯、議論があった。
・4月30日 陸上自衛隊むつみ演習場周辺見学会
  支部会員3名、元会員2名、他6名が参加した。
・5月19日 「上関原発をつくらせない山口県民の会」第22回総会 会場:県労連会館
  増山博行会員が開会挨拶した。
・5月19日 ミニ講座「YU学び舎」第10講 会場:山口大学会館 参加者33名
  増山博行会員が「イージス・アショアについて考える −弾道ミサイル防衛の諸問題−」について話題を提供し、
    参加者の活発な議論があった。
・5月26, 27日 日本科学者会議(JSA)第49回定期大会 会場:駒澤大学 
  吉村高男会員が代議員として参加した。
・7月1日 ミニ講座「YU学び舎」第10講 会場:山口大学会館 参加者13名
  山口大学関係者有志9条の会世話人の加藤碩氏が「250万部超普及の吉野源三郎著『君たちはどう生きるか』を考える」
    について話題提供し、若い参加者を含めて討論となった。
・7月4日 安保法制の廃止をめざす山口大学関係者の会に協力して、
   「イージス・アショア」の陸上自衛隊むつみ演習場配置に反対する」声明を作成し、政府ほかにFAXし、
    県庁記者クラブで記者発表。地元TVニュースや新聞のローカル版に載った。 
・7月6日 「むつみ自衛隊演習場をミサイル基地とすることに反対する」支部幹事会声明を安倍首相、
    小野寺防衛大臣、村岡県知事、藤道萩市長、花田阿武町長にFAX。マスコミ6社にはメール添付で送付した。
・7月22日 JSA中国地区会議(7日の予定であったが豪雨による交通機関の閉鎖により延期) 吉村、増山が出席予定


編集後記

 一月前の北朝鮮とアメリカの共同声明の発表は、核兵器と弾道ミサイルの脅威から平和的に回避できる望みを持たせるものであったが、7月に至って一筋縄ではいきそうにない雲行きである。しかし、軍事的解決は朝鮮半島だけでなく、日本列島にも悲劇的な事態しかもたらさない。ミサイルにはミサイルという兵器に頼る道は一番不確かで、危機をもたらすであろう。11月の中国地区シンポジウムでは議論の深化と、多数の参加者の討論への参加、問題認識の拡がりを望みたい。
JSA山口支部事務局
   〒753-8511 山口市吉田1677-1 山口大学教職員組合気付
  Tel 083-933-5034  Fax 083-921-0287  e-mail fuy-union@ma4.seikyou.ne.jp

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